キャベツ・クリームを知っている?といったら何それ?ですね。キャベツの所をフランス語のシューにすればどうでしょう。日本人は外国語を自国語に取り入れる場合けっこうフレキシブルというか、いい加減です。だからシュー・クリームのような「和製仏・英語」ができあがる。チーズ・プラトーなんかもそうですよ。その話は別にして、このお菓子のフランス語名をちゃんというとシュー・ア・ラ・クレーム(chou à la crème)です。直訳すればキャベツ・クリーム。これは単にこのお菓子がキャベツの形をしていたからに過ぎない。フランス人も適当ですね。
そこで本題に入ります。日本語のキャベツは英語のCabbageからきた言葉ですが、昔は英語の発音に近いキャベジといっていた。和名は甘藍(カンラン)です。明治になってから本格栽培されますが、今やキャベツはトンカツやフライなどの付け合せには必ずついてくる出番の多い野菜ですね。日本では4番目に栽培量の多い野菜です。 原産地は地中海沿岸とされ歴史は古い。古代ギリシャ人やローマ人はキャベツを二日酔いの予防として盛んに食べていたとか。どちらかといえば薬用だったようです。当時のキャベツは結球した物ではなく、現在のケールのような葉っぱを食べていたようです。改良されて現在の様にボール状になるのは12世紀頃といわれています。ヨーロッパのキャベツは葉の縮れた縮緬キャベツが主流です。ちなみにブロッコリーやカリフラワーなんかも同じ仲間ですよ。
キャベツといえばドイツとういうイメージがあるようですが、ドイツ語ではコール(Kohl)で、人の名前にもなっています。かつてドイツの首相にもコールさんという人がいましたね。ドイツの代表料理といえばザウワークラウトですが、これはキャベツを細く切って塩漬けにし、酸っぱくなるまで乳酸発酵させたものです。この酸っぱいキャベツとハムやソーセージを一緒に蒸し煮にしたのがザウワークラウトでドイツの国民食といっていいでしょう。ドイツと国境を接するフランスのアルザス地方では同じ料理をシュー・クルートといます。
キャベツとチーズといえば、北イタリアに山羊乳のチーズを縮緬キャベツの葉で巻いたインカヴォラータ(Incavolata)というチーズがありますが、イタリアに行ったときに探したけど季節が合わなかったのでしょう、見つかりませんでした。
古代のギリシャやローマ人が薬としたキャベツですが、その薬効は現代でも認められています。よく知られているのが胃腸の健康に役立つという事ですね。キャベツから発見されたビタミンUが傷ついた胃腸の粘膜を修復してくれるそうです。ビタミンUは別名キャベジンという、といえばもう納得ですね。そのほかアメリカではがん予防に有効な野菜にキャベツが上位にランクされていますし、ボケ防止にも効果があるとしている文献もあります。このように身近ながらキャベツは偉大な野菜なのです。