世界三大ブルーチーズといえば、日本ではフランスのロックフォール、イギリスのスチルトン、イタリアのゴルゴンゾーラという事になっていますが、そこで「世界三大○○」というのはどのくらいあるのか調べてみましたが、なんと様々な分野にわたって百以上ありました。中には統計的なものありますが、特別な審査基準があるわけでもなく、ほとんどが独断と偏見で誰かが言い出し定着したと思われるものが多いのです。例えば、函館が入っている世界三大夜景とか、世界三大無用の長物は万里の長城、ピラミッドと、なぜか日本の戦艦大和が入っていたりします。面白いのは「世界三大がっかり」です。ベルギーの小便小僧、コペンハーゲンの人魚像、シガポールのマーライオンがあがっている。だれがこんな事考えるのですかね。
食の世界では10数件の世界三大がある。ミシュランの星の多い三大都市は一位から三位まで東京、京都、大阪の順でパリは四位だそうです(2011年)。やった! 世界三大料理といえばフランス料理、中国料理、次に来るのがトルコ料理になっていて、ここで議論が沸騰する。フランス料理や中国料理は世界中で食べられているけど、トルコ料理はそれほどメジャーなの? 日本料理を入れるべきだ、寿司は今や世界を席巻しているではないかと、日本人は突然愛国者になる。そこでトルコ料理のところに、それぞれ自国の料理を入れ変えて世界三大料理すればいいという折衷案も出される、などなどです。
話題がそれ過ぎました。「世界の三大珍味」は知ってますね。フォワ・グラ、キャヴィア、トリュフという事になっています。この中のフォワ・グラのこと少し書いてみましょう。最近日本でも手に入りやすくなりました。クリスマスに奮発してみませんか。
さて、フォワ・グラとはガチョウの肥大させた肝臓らしいことはご存知ですね。フランス語ではfoie(肝臓) gras(脂肪の多い)と書き、ここにはガチョウという文字はない。フォワ・グラを取る鳥には二種類あってガチョウがoie(オワ)、カモはcanard(カナール)で、包装紙などに表示しています。フォワ・グラはローマ時代からあり、当時はイチジクを食べさせて肥育したそうです。現在はトウモロコシを強制投餌し肝臓を肥大させますが、これが動物虐待という事でカリフォルニアのように販売を禁止しているところもありますが、フランス人は相変わらず大好きで生産量も世界一です。
フレッシュなものをソテーして食べるのも最高ですが、フォワ・グラはパテにすることも多いのですが、このフォワ・グラのパテに革命が起こったのは18世紀の後半アルザス地方でのことです。アルザスの総督のコンタドール侯爵のお抱えのクローズというシェフが、ある宴会でフォワ・グラを挽肉で覆い、さらにパイ生地で包んで焼いた物が招待者から絶賛されます。後に「コンダドール風パテ」としてルイ16世に献上され、侯爵は領地をシェフは金貨をもらったといいます。その後シェフは独立し店を持ちます。後にそこにボルドーからやってきた料理人が、このパテに国の特産物トリュフを入れることを提案します。ここで三大珍味の二つが出会ってこれが定番なっていきます。
さて残るもう一つの珍味チョウザメの卵キャビアですが、元はカスピ海あたりの名産ですが、今は絶滅の危機に瀕しています。現在フランスではボルドーのジロンド川でチョウザメの養殖をしてキャビアを生産していますが、日本では岩手県などで養殖しています。