新聞やTVで報道されている出来事で、筆者が特に気になるニュースが4件あります。
1点目はコンビニのバックヤードで作られ販売されているおにぎりの消費期限付け替え事件です。消費期限はそれを過ぎて摂取すると健康上の安全を保障できないギリギリの期限で、おいしく食べることができる賞味期限とは異なります。通常、社内で決まっている細菌検査や官能評価など科学的な検査を踏まえて消費期限を設定し、それを容器に表示します。なので、勝手に独断で消費期限を変更することはできません。原料を変更した、製造方法を改良した(例、手造りから機械化に変更した)などにより消費期限を延長できると考えた場合には、社内で決められた検査を行い、社内における品質会議のような場で消費期限延長を決定することは可能です。しかし、しばしば現場責任者の独断で消費期限を付け替え、それがバレて問題になることがありました。なので、またか!と思いますが、社内で徹底してほしいものです。
2件目はフランス産チーズにおけるリステリア菌汚染による21件の食中毒発生についてです。2名が亡くなったとのことです。ネット情報によればフランス中央部付近にあるChavegrand (シャベグラン)という乳業メーカーで2025年夏に製造したソフトタイプのチーズが汚染していた模様です。このチーズは殺菌乳から製造していたそうですが、撹拌などを素手で行っていれば汚染されるリスクは避けられません。チーズ製造に際しては、それぞれの製造所で定めた作業標準があるはずです。作業標準を守っていればリステリア菌に汚染されるはずはないのですが・・・。しかし、作業標準を守っていなかった、機器に異状があった、作業標準にこれまで気付かなかった不備があった、などの状況があったとすれば汚染があり得ます。早急に原因を追究し、再発防止に努めてほしいです。
本件に関し、さらに情報を求めてネット検索をしたら、とんでもない情報に出くわしました(https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06340210397)。これによれば、Deflisque(フランス農業共同経営団体)が2024年3月~8月にかけて製造されたLe Chasteauというサン・ネクテールに類似したチーズがサルモネラ菌で汚染され、72名が食中毒被害にあったそうです。菌こそ異なりますが、今年の事故と極めて類似しています。最初は同一事件を報道しているのかと勘違いしたほどです。ひょっとすると、地球規模での気候変動でフランスでも気温が高く、牛の健康やチーズ製造に甚大な被害をもたらしているのかもしれません。だとすれば、私たちも他人事とのんびりできません。
3件目は数字に関するものです。「〇〇.△%の医師が推奨しています」といった訴求をしている商品があります。小数点以下一桁までの数値ですので少なくとも1,000人以上の医師からアンケートを回収していると思いますが、何人の医師に、どのようなアンケートをしたのか分かりません。なので、どこまで信用してよいのか分かりませんし、一般消費者は「殆どの医師が推奨している」と誤解する可能性があります。優良誤認に該当するかどうかは分かりませんが、もう少し分かりやすくしてもらいたいです。

また、洗剤などで「99%除菌されるので安心できます」といったTVCMがあります。仮に洗浄前には108個/gの菌がいた場合、99%の菌が除かれるとすれば、1×106個/gが残ります。99%と言われれば殆ど菌はなくなると思いがちですが、まだまだ菌は残っており、時間とともに増殖します。しかし、多くの消費者は99%の菌を除くことができれば安心するでしょう。数字は説得性が高いですが、それだけに誤解を与えないように留意してもらいたいものです。

4件目はおまけと食品ロスです。日本で最初のおまけつき食品はグリコのキャラメルだったように記憶しています。キャラメルの箱の上部に車や電車の極簡単なオモチャが入っていて、キャラメルよりもおもちゃが欲しくて買ってもらっていた記憶があります。また、息子が小学生だった頃、キン肉マンチョコが流行り、チョコレートが捨てられキン肉マンシールを集めるという社会現象が起こりました。そして今某バーガーメーカーが人気アニメのオモチャとコラボした販売を行ったところ転売ヤーによる転売が問題となり発売中止に追い込まれました。このような販売方法は食品ロスを招きがちであることはすぐ分かることです。このようなことを起さない販売を実施してもらいたいものです。